ここ数日、ぐずついたお天気が続きますね。
軽井沢は一雨ごとに緑が濃くなり、1ヶ月前とは別世界のようです。晴れた日はお散歩がとても気持ちよくて、清々しい風を感じたり美しいウグイスの鳴き声に癒されたり......最高の季節、到来です。
日本有数の別荘地である軽井沢は、古くから数多くの文豪に愛されてきました。
え!こんな人まで......!?と驚くような名前がたくさんです。
ー軽井沢にゆかりのある文豪たち
・有島武郎
1916年に初めて軽井沢を訪れてから毎年避暑に来ていた。軽井沢夏季大学で二度の講演実績も。
軽井沢を描いた作品に「信濃日記」「小さき影」などがある。
・室生犀星
1931年、旧軽井沢に純和風の別荘を建築。亡くなる前年までの毎夏2ヶ月を軽井沢で過ごした。軽井沢を舞台にした作品に「杏っ子」「聖処女」「木漏日」「碓氷山上之月」「信濃追分の記」などがある。
・芥川龍之介
1924年と翌年の2回、いずれも夏の1ヶ月を旧軽井沢のつるや旅館で過ごした。友人の室生犀星、堀辰雄、萩原朔太郎も同宿したりもしている。1925年に書いた草稿「軽井沢で」の中で、軽井沢について「さやうなら。手風琴の町、さやうなら僕の抒情詩時代」と記した。
・川端康成
1937年に外国人宣教師の別荘を購入、その後別荘を新築し、夏から秋にかけてを軽井沢で過ごした。軽井沢を舞台にした小説に「牧歌」「高原」「秋風高原」などがある。
・堀辰雄
まだ高等学校の学生であった1923年、19歳のときに室生犀星に誘われ初めて軽井沢を訪れた。その時の印象を友人に「道で出逢うものは、異人さんたちと異国ばっかりだ」と書き送っている。以降軽井沢を頻繁に訪れ「ルウベンスの偽画」「美しい村」「菜穂子」など軽井沢を舞台にした作品を多数残した。代表作である「風立ちぬ」は難産の末、1937年冬、川端康成別荘において完成させた。
*スタジオジブリの「風立ちぬ」は堀辰雄の「風立ちぬ」をベースにした物語で、零戦設計者である堀越二郎の人生に、婚約者を肺結核で亡くした堀辰雄の悲恋をドッキングさせて作られたと言われています。
・遠藤周作
学生時代から軽井沢を訪れ、フランス留学から帰国後、療養もかねて夏を軽井沢で過ごすようになった。1968年以降は千ヶ滝に建てた別荘で夏を過ごし、執筆活動を行なった。「沈黙」は元病院だった六本辻の貸別荘で書き上げたもの。戯曲「薔薇の館」は聖パウロ教会が舞台。
ー軽井沢を舞台にした恋愛小説
軽井沢を舞台にした恋愛小説は?と問われたら、小池真理子著「恋」がを挙げる方が多いのではないでしょうか。
直木賞受賞作であり、石原さとみさん主演でドラマ化もされている人気作です。
舞台は時代が多量のエネルギーを持っていた1970年代初頭の日本。高度経済成長と安保闘争に沸く東京都、閑静な避暑地・軽井沢を舞台に描かれる友情、純愛、不義、三角関係、そして殺人......エキセントリックでありながら、切なさや救いを感じさせる重厚なストーリーで多くのファンを掴んだ作品。
また、三島由紀夫が「オシャレな小説を書きたくて」執筆した小説「美徳のよろめき」も軽井沢万平ホテルを舞台にして描かれたと言われています。
小説に地名は出てきませんが、主人公・倉越節子が娘時代に一度だけキスした青年・土屋と旅したのは、当時、東京から汽車で四時間、五月に暖炉を燃やしている、ハイソサエティの紳士たちがゴルフに来る、その中に偶然節子の叔父がいて危うくホテルのロビーで鉢合わせしそうになる......といった描写から想像するに、軽井沢、そして万平ホテルだろうと思われます。
ちなみに、万平ホテル資料館に飾られている宿泊名簿には「三島由紀夫」の署名が残されています。
ー軽井沢を舞台にしたミステリー小説
軽井沢のミステリーの代表的な作家といえば、軽井沢に居住し、自身も「軽井沢のセンセ」として作中に登場する内田康夫先生でしょう。
名探偵・浅見光彦は昭和57年の初登場以来100作品以上、全国津々浦々で難事件を解決しました。数多くのファンがついており、軽井沢・塩沢湖近くに記念館も建てられています。
ただ意外なことに、実は、浅見光彦が実際に軽井沢で謎解きをしたのは「軽井沢殺人事件」の1作品のみ。その作中には旧軽井沢銀座の街並みが鮮やかに描かれています。
他にも有栖川有栖著「46番目の密室」は、推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生の人気コンビが、著名な推理作家の軽井沢の別荘で密室トリックを解き明かすストーリー。
またトラベルミステリー作家・西村京太郎著「ヨコカル11.2キロの殺意」は、旧信越本線の横川ー軽井沢間が事件現場となっており、今はもう見られない車窓の描写を垣間見ることができます。
いかがでしたでしょうか。
まだもう少しおうち時間が続くという方も多いと思います。この機会にぜひ軽井沢にゆかりのある小説を読んでみて、お出かけできるようになったら、実際に舞台を訪れてみる........というのも楽しいかもしれません。
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