【アンティーク入門Vol.22】ステンドグラスの歴史と、奥深い魅力

軽井沢のアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。

 

2023年度のオープン日 4月14日(金)まで、いよいよあと2週間となりました。

 

今季は特に英国アンティークが数多く入荷しており、中でもチェア類が豊富。人気のチェスターフィールドをはじめ、他ではあまり見かけない折りたたみ式のアフタヌーンティーテーブル等、非常に魅力的なアンティーク家具が揃っています。

 

軽井沢もようやく暖かくなり、聞こえてくる小鳥の囀りに心が癒されます。今春もみなさまのお越しを心よりお待ちしております。

 

 

 

当ブログは月1〜2回のペースで更新し、アンティークの豆知識を綴っています。

 

今回のブログは......【アンティーク入門Vol.22】ステンドグラスの歴史と奥深い魅力について、です。

ステンドグラスの歴史

ステンドグラスの歴史は古く、5世紀にまで遡ります。

 

この時代の作家がフランス・リヨンの教会で目にしたステンドグラスを【まるで春の花でいっぱいの草原のように光り輝いている】と表記した書物があったり、同じ5世紀頃に建立されたイスタンブールの寺院にもステンドグラスが使われていた痕跡がある、と言われています。

 

現存する最古のステンドグラスとしては、ドイツのロルシュ修道院跡から発掘されヘッセン州立美術館に展示されている、男性の頭部(キリスト?)が描かれたガラス片です。

 

また全体像が完全な状態で残っているものでいうと、11世紀ごろに建てられたドイツのアウクスブルグ大聖堂に【5人の預言者】が描かれたステンドグラスがあります。このステンドグラスはすでに十分な技術と様式をもって作られており(現代でも主流である、H型の鉛のレールでガラス同士を組み合わせる技法が使われている)、ずっと以前から制作されていたであろうことが伺えます。

 

この時代のステンドグラスは宗教的な意味合いが深く、字の読めない人々のために神の教えの物語を伝えるために作られていました。当時は職人ではなく、囚人が作っていたとも言われています。

 

ステンドグラスの黄金期〜衰退期

11世紀〜15世紀にかけては、ステンドグラスの黄金期です。

 

各地でさまざまなステンドグラスが製作され、世界遺産になっているものも多くあります。13世紀に建立された『シャルトルブルー』で有名なノートル大聖堂、イギリスのカンタベリー大聖堂などはこの代表例です。

 

素晴らしい芸術作品が多数誕生した背景には、金属(鉛)やガラス産業の発展も相まって、ステンドグラスの技術も大きく向上したことが挙げられます。

 

しかし皮肉な話で、技術の進歩により複雑な表現が可能となったことにより、ステンドグラス本来の魅力であるはずの【透明感】が失われていってしまう......という事態に陥ってしまうのです。

 

15 世紀後半になると、ステンドグラス作家たちは絵画の写実主義・遠近法などの3次元的空間表現を模倣しようとしました。

 

ステンドグラスでは油絵のように細部の正確な描写を行うことはできません。ステンドグラスは光の透過性こそが魅力で、その曖昧さに依存せざるを得ないにも関わらず、作家がこのことを真に理解していなかったのですね。

 

結果として技術の進歩もテクニックの発展も滞ってしまい、いわばステンドグラス冬の時代に突入することになってしまいました。

 

ステンドグラスを復興させた、モリスとティファニー

そんな中ステンドグラスの復権を後押ししたのが、アーツ・アンド・クラフト運動で有名なかのウィリアム・モリスです。

 

産業革命の結果として大量生産による安価で粗悪な商品が溢れる状況を嘆いたモリスは、中世の手仕事を見直し、生活と芸術を統一することを主張した人物です。

 

ちなみにベルリネッタ軽井沢でも、ウィリアム・モリス社の製品は人気です。当店オリジナルの『モリスベア』はファンが多く、ランプやスリッパなどのラインナップも揃えております。

 

モリス商会を設立したモリスは、ステンドグラスを含むインテリア製品を次々に生み出しました。鉛線をデザインの一要素とみなす正当な態度も含め、モリスはステンドグラスの特質と透明性回復に努めました。

 

さらに19世紀末、ステンドグラスの価値を飛躍的に高めた人物がいます。

 

ルイス・コンフォート・ティファニー。宝石商として有名なティファニー家の2代目です。彼は家業を継がず画家としてキャリアをスタートし、のちに室内装飾家、ガラス芸術家として功績を残しました。

 

これまでのガラスを鉛線で繋ぐ技法とは異なり、ガラス片に銅のテープ(コパテープ)を巻き、ガラスとガラスをハンダ付で繋げるーーティファニーテクニックと呼ばれる革新的な技法で、今まで平面でしか表現されなかったステンドグラスを彫刻のような立体造形に変えるとともに、これまでにはあり得ないレベルでの繊細な表現を可能にしたのです。

 

さらにティファニーは、大きなステンドグラスを制作する際に余ったガラス辺を、ランプシェードの細かい模様に有効活用することにも成功しました。

 

それらは「ティファニーランプ」と呼ばれ、繊細なデザインとハイクオリティな仕上がりで世界中のファンを魅了しています。

日本におけるステンドグラス

日本で初めてステンドグラスが使われたのは、文明開化の頃です。

 

19世紀末にフランスから長崎の大浦天主堂に寄贈された「十字架のキリスト」が最初のものだと言われています。

 

明治時代は、西洋の文化や技術を次々に吸収し導入していた時代。ステンドグラスについても

同様で、日本でも独自制作しようとする動きが現れたのは自然な流れでした。

 

明治政府によりガラス技術の習得を目的としてドイツ留学を命じられた宇野澤辰雄は、3年間みっちりステンドグラス技法およびエッチングの技術を学んだ上で日本に持ち帰りました。

 

彼が日本で初めて制作したのは、1894年竣工の東京府庁舎の天井の明かり取りです。

 

それからもう一人のパイオニアである小川三知は、日本画教師として渡った米国でアメリカ式

のステンドグラス技法を習得。帰国後に数々の名作を残しています。

 

現在のように、個人住宅等の建造物にステンドグラスが使用されるようになったのは1900年頃からです。

 

住宅以外にも、公共建築物や産業建築物にも取り入れられ、階段の吹き抜けや看板、ドーム、天井などにステンドグラスが取り付けられるようになりました。

 

ベルリネッタ軽井沢では、写真のような小窓にはめるタイプの手に取りやすいもののほか、両開きのステンドグラス扉などの大物もご用意があります。

 

太陽光を透かした際の神々しいまでの燦きは、心がふっと軽くなるような、浄化されるような不思議な魅力があります。

 

玄関や室内扉に使用するなど、マイホームや別荘を建築する予定がある方はステンドグラスの採用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

大きすぎて写真に収められなかった両開き扉もとても素敵ですので、ぜひ店頭でチェックしてくださいね。

 

 

 

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