【アンティーク入門Vol.26】アンティーク食器を読み解く「バックスタンプ」

軽井沢のアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。

 

例年だとお盆を過ぎたら秋の気配......なのですが、今年は軽井沢も本当に暑くて残暑が続いています。とはいえトンボが飛び回っていたり、栗が落ちていたり、季節は確実に移ろっているのですね。

 

ベルリネッタ軽井沢では現在、毎夏ご好評をいただいているナンタケットバスケット展示販売会を開催中。英国王室から唯一フォーマルな席で持つことを許されたかごバッグ。すべて天然素材を用いて作られており、使い込むほどに深まる味わいは多くの人を魅了し続けています。

詳細はこちら>>>

 

さて、今回のブログは......【アンティーク入門Vol.26】アンティーク食器に隠された「バックスタンプ」についてです。

「バックスタンプ」とは

ベルリネッタ軽井沢では、アンティーク家具のほかにアンティーク食器も豊富にお取り扱いしております。毎シーズン入荷しているので、毎夏楽しみにお買い物してくださるファンの方も多くいらっしゃいます。

 

中でもやはり人気なのは華やかな絵付けが施されたアンティークのカップ&ソーサーです。

 

心惹かれる絵柄でお気に入りを決めるのも楽しいですが、いつの年代の作品なのか、どこの国で生産されたものか、自分で見分けられるようになったらより楽しめると思いませんか。

 

このように、アンティーク陶磁器をより深く理解するために欠かせない記号ーーそれが「バックスタンプ」です。

 

カップ&ソーサーを裏返すと、シンボルマークや数字、文字が明記してあるのを見たことがあるのではないでしょうか。実はこの「バックスタンプ」を読み解くことで、陶器メーカー、生産された時代、登録された年代などを判別することができるのです。

 

各陶器メーカーは異なるシンボルマークを使用していますが、数年ごとに変更していたりもするので、プロでもその全てを把握することは難しいと言われます。

 

 

各メーカーはパターンブックという書籍を発行して自社のバックスタンプをまとめていたりもするのですが、アンティーク陶磁器の場合は基本のマークがあるので、パターンブックがなくても初めての方でも簡単に見分けることが可能です。

 

バックスタンプから時代を判読する

 

ヨーロッパにおいて、陶器メーカーがカップ&ソーサーにバックスタンプを記すようになったのは1780年代のことです。それ以前のものにはマークがないため、どの国の、どのメーカーのものなのか識別できないものも多数存在しています。

 

当時人気のあったシノワズリ趣味を模して、東洋から輸入されたカップ&ソーサーだと思わせるために、中国や日本のマークを模倣して記すメーカーもあったりして、正確な識別は困難を極めます。

 

ヨーロッパでバックスタンプが定着した初期の頃ーー1800年代以前の作品は「裏面のマークが小さい」「手描きである」「イニシャルや名前が記されている」という特徴があります。

 

一方、メーカー名の「あと」に【Royal Arms】と記されている場合は、19世紀に君主によって付与された刻印ですので、1800年以降の作品だという事がわかります。

 

またバックスタンプの色にも意味があります。

 

マークが「青色以外」の色で印刷、刻印されているものは1850年以降に生産されたものです。同じようにメーカー名の「まえ」に【Royal】という文字が記されていた場合も、1850年以降の作品です。

 

菱形の中央に登録済みであることを示す【Rd】と描かれたマークがついていた場合、この印は1842年から1883年の間にかけて使用されたものですのでこの期間の作品であることがわかります。

 

1884年以降は【Rd No.11111】のように記す形式に変わっており、この登録番号によって年代とメーカーに関する情報が判読できるようになりました。

 

番号が1〜351,600前の場合、そのカップ&ソーサーは1884年から1900年の間に登録されています。これより大きな数字の場合、1900年以降の登録ということになります。

 

1860年以降の作品については、有限責任会社による表示の法律が可決された関係で【Limited】もしくは【Ltd】というマークが記されるようになっています。また商標を示すことが義務付けられた1862年以降の陶磁器には【Trade Mark】という表示が見られます。

 

100年超アンティーク食器の見分け方

 

ちなみに、より簡単に100年を経過したアンティーク食器かどうかを見分ける方法があります。ーーそれはバックスタンプの中央に国名表示があるか否か、です。

 

上述のとおり、1891年以前に生産された陶磁器にはメーカーマーク、登録番号が記されています。ところが1891年にアメリカが輸入品に製造国表示を義務付けたため、これ以降の作品には必ず【ENGLAND】等の国名表示があるのです。そしてさらに1921年からは【Made in ENGLAND】という表示に変わっています。

 

ということは、国名表示がない、または【ENGLAND】等国名のみ表示の作品は製造から100年以上が経過したアンティーク品だということが判読できます。

 

ちなみに20世紀以降に製造された陶磁器の場合は【English Bone Chine】【Bone China】等の表示があります。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。少し知識があるだけで、アンティーク食器の楽しみ方が広がりますよね。

当店にお越しの際も、ぜひバックスタンプを確認してみてくださいね。

 

 

▼全国に配送!5,000円以上で送料無料

アシュレイ&バーウッドのフレグランスランプオイルやセットを販売中です。