軽井沢のアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。
※お知らせ
当店は2022年11月29日(火)の営業をもって冬季休業に入らせていただきました。
来春の営業開始は4月14日(金)を予定しております。
当ブログは冬季休業中も月1〜2回のペースで更新し、アンティークの豆知識を綴って参りますので、ぜひお時間のある時にチェックしていただけたら嬉しいです。
さて、今回のブログは......【アンティーク入門Vol.21】英国アフタヌーンティーとアンティーク家具について、です。
英国アフタヌーンティーの始まり
英国スタイルのアフタヌーンティーは、1840年頃、7代目ベッドフォード侯爵夫人のアンナ・マリアの個人的習慣から始まったと言われています。
当時の貴族の食生活は、イングリッシュ・ブレックファストと呼ばれるたっぷりの朝食(日本でもラグジュアリーホテルのモーニングメニューにありますね)と夜8時頃からスタートする夕食の、1日2食だけ。
そこで、夕刻の空腹を満たすために、アンナ・マリアは午後4時頃からお茶とともにパンやお菓子を食べることを習慣にしていたようです。
最初は一人でこっそり寝室で食べていたのですが、そのうち専用のお茶室に友人を招くようになり、これが上流階級の婦人たちの間で社交を楽しむ場として定着。ヴィクトリア時代後期になると、貴族だけでなく一般庶民の間でもアフタヌーンティーが大流行しました。
ちなみに、アフタヌーンティーには様々なルール(マナー)がありますが、これは上流階級の婦人が一般庶民のアフタヌーンティーと一線を画すため、堅苦しいマナーを重んじるようになったことによります。
さらにはお料理、おもてなしの力量、インテリアのセンス、日頃のハウスキーピング.......等々、ホストの手腕が試される「マダムの生活発表会」としての側面が色濃くなっていきました。
アフタヌーンティー開催の流れ
アフタヌーンティーを開くと決めたら、まず会を開くホストのマダムがゲストを慎重に選定します。どのような方を招くかで、マダムの格が問われるからです。
執事は、アフタヌーンティーを開催する日の1ヶ月前までに、ゲストの家に招待状(日時、場所のほかドレスコードが書かれている)を送付します。
マダムは当日に向けて食器、テーブルコーディネート、紅茶やお菓子のセレクトに精力を注ぎます。いかにオシャレで行き届いた会に仕上げられるか、腕の見せ所なので気が抜けません。
当日、開催時間の午後3時になると、ティーガウンと呼ばれる体を締め付けないドレス、帽子と手袋を身に纏ったゲストが訪ねてきて、マダムが1杯目のウェルカムティーをサーブします。
マダムによる「どうぞ、温かいうちに」という声がけでアフタヌーンティーがスタート。主賓の方がカップに口をつけたのを見届けて、他のゲストも飲み始めます。
サンドイッチやスコーン、フィンガーサイズのお菓子をつまみながら皆で紅茶をいただき、ホストのマダムは会場の調度品やテーブルウェアなどを、家の格や歴史などの背景とともに語る......というのがセオリーです。
アフタヌーンティーのマナー
先述のように、上流階級の婦人たちはアフタヌーンティーに厳格なマナーを設けました。
例えば、以下のような決まりがあります。
【紅茶編】
1.ティーカップは、ハンドルを右に置いた際に正面にくる側が表。表側にメインの絵柄が配置されています。セッティングの際もハンドルを右にして置き、スプーンはハンドル側に縦に置く。
2.紅茶にミルクを入れるのは2杯目からがベター。まずは茶葉の風味を味わうためにストレートでいただくのがスマートです。
またミルクやお砂糖を入れる際には音を立てずにティースプーンで2〜3回かき混ぜる。
3.ティーカップは必ず右手でもち、ハンドルに指は通さずつまむようにするとエレガント。小指を立てたりカップの底に左手を添えるのはタブー。
4.紅茶を飲む際は音を立てない。足を組む、肘をつく、髪をかきあげるような仕草もNG。また、カップについた口紅を拭うことも良いマナーとは言えないので、事前に軽く口紅を押さえておくのがエチケット。
5.カップ&ソーサーの裏側を見るのも行儀がよろしくないためNG。気になる場合は主催者に尋ねる。
6.紅茶を注ぐ際はティーポットの蓋を押さえない。右手にポット、左手にカップ&ソーサーを持って胸の高さまで持ち上げ、ゆっくりとカップに注ぐ。
【ティーフーズ編】
1.サンドイッチ→スコーン→ペイストリーの順に食べ進める。逆戻りして食べるのはNG。
2.スコーンは上下に割って食べる。
3.ティーフーズは食べきらず少し残しておく。※「食べきれないほどお出しする」のが礼儀とされているため
4.ティーフーズは自分のプレートに取り分けてからいただく。ティーカップは右手で、ティーフーズは左手で食べる。
折りたたみ式の英国アンティーク家具
アフタヌーンティーというと、3段のシルバープレートが思い浮かびますね。しかしこれはホテルやティールームで用いられるもので、英国の家庭でのフォーマルなアフタヌーンティーでは見かけません。
アンナ・マリアをはじめとする貴族の婦人たちは、小さなラウンドテーブルや客間の低いテーブルでアフタヌーンティーを楽しんでいました。
上写真は折りたたみ式のアフタヌーンティーテーブル。4月のオープンに向けて新しく入荷したものです。珍しく可愛いですよね。英国のご婦人たちが、自宅でアフタヌーンティーを開催する際にさっと取り出して使っていたのでしょうか。
英国のアンティークには、こういったスマートに収納ができる折りたたみ式の家具が豊富にあります。ネストテーブル(引き出して使う3段になったテーブル)や、ライティングビューロー(天板部分を開くとデスクになる)などをよく見かけますよね。
これは日本と同様に国土が小さく、決して広いとはいえない住宅事情が大きく関係しています。
英国アンティークは小ぶりで奥行が薄く直線的なデザインが多いので、限られたスペースでも取り入れやすいのが特徴。またウォルナットやマホガニー材の重厚な雰囲気、格調高く、華やかでも華美になりすぎず日本のインテリアにも馴染みます。
今季、チェスターフィールドも含めて英国アンティークがたくさん入荷していますので楽しみにしていてくださいね。
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