【アンティーク入門Vol.18】ゴブラン織の歴史と魅力

軽井沢のアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。

 

※お知らせ

当店は11月29日(火)の営業をもって冬季休業に入らせていただきました。

来春の営業開始は4月14日(金)を予定しております。

 

 

 お店はしばらくクローズとなりますが、当ブログでは引き続きアンティーク入門ブログを発信していきますので、ぜひ覗きにきていただけると嬉しいです。

 

今回のブログは......【アンティーク入門Vol.18】ゴブラン織の歴史と魅力について、です。

 

当店では椅子などの大型家具からバッグ等の小物に至るまで幅広いゴブラン織を取り揃えており、中には熱心なコレクターの方もいらっしゃるほど非常に人気があります。

 

優雅なデザインと上質さからファンの多いゴブラン織。今回はその歴史と魅力を紐解きます。

 

ゴブラン織の歴史

ゴブラン織とは、フランスのゴブラン工場で製作された綴織(つづれおり)の作品を指し、広く壁掛けとして用いられるタペストリーも含めて呼称されています。

 

綴織は古来から祭具や室内装飾布、帯地などに用いられてきましたが、生産に莫大な手間と時間がかかるため非常に高価です。起源は古く、古代エジプト時代から織られていた記録があります。

 

”ゴブラン織”として広く一般に認知されるようになったのは、15世紀のこと。パリに住んでいた染織家ジャン・ゴブラン(Jean Gobelin)一家が作った織物が人気を博し、当時はゴブラン家の家紋が織り込まれている綴織だけを“ゴブラン織”と呼んでいたそうです。

 

その後、17世紀にルイ14世がこの工場を買い上げて王立工場とし、ゴブラン織の名は世界中に知られることとなりました。

現在でもパリのメトロ「レ・ゴブラン」駅に工場が現存し見学もできるようになっています。

 

現在でもフランス・ベルギー等でゴブラン織の製作が続けられていますが、やはりルイ14世時代のゴブラン織は別格。

 

ラファエロやブーシェ、モネ、デュフィなど名だたる画家の下絵を用いた作品があったり、事件や記念行事を描写したものなど......配色・構図・豪華さ・規模のどれをとっても、ルイ14世時代に王立工場で製作されたゴブラン織に敵うものはありません。

 

ゴブラン織の特徴

 

ゴブラン織は平織の一種です。経糸(縦糸)は見えず、緯糸(横糸)だけで模様を表現します。

 

模様を描く緯糸には太めの糸が使われているため重厚感のある仕上がりとなり、色や模様を表現するのに数百色の糸が使われることも。緯糸一本一本で模様を描く技法は繊細で豊かな表現が可能で、絵画のような美しさがゴブラン織の特徴です。その芸術性の高さから、ベルサイユ宮殿でもタペストリーや室内装飾品として使用されています。

 

また、実は意外にもお手入れのしやすさがゴブラン織の魅力の一つです。

 

経糸と緯糸を織っていく平織の一種であるゴブラン織はパイル(毛足)がありません。そのため遊び毛や埃が出にくく、ごみも付着しづらいので、よくある粘着素材のコロコロを転がすだけでお掃除できるんです!さらには薄くて軽いため、陰干しの際の持ち運びも簡単。

 

美しさだけでなく実用性も抜群となれば、全世界の多数のコレクターがいるというのも納得ですよね。

 

 

 

コレクター垂涎の的「プチポワン」

まるで絵画のような繊細さが魅力のゴブラン織ですが、特にコレクター垂涎の的となっているのが「プチポワン」です。

 

ハプスブルク家が権力と文化を誇っていた18〜19世紀、オーストリアの女帝マリア・テレジアがこのプチポワン刺繍を開花させたと言われています。

 

プチポワンは主にファニチャーやテーブルクロス、壁掛けなどの室内装飾から、ハンドバッグやハンカチーフなどのアクセサリー類にも使用されており、中でも当時の王家や貴族の女性たちの心を奪っていたのがプチポワンをあしらったフォーマルバッグでした。

 

口金に七宝や宝石・貴石類を使い、宮廷絵画などを優美に刺したフォーマルバッグを持つことは、上流階級のステイタスであったとも言われています。マリア・テレジアの肖像画でも、豪華なレース、宝石をふんだんに使ったアクセサリー、金糸銀糸による装飾品と並んで、プチポワン刺繍が描かれています。

 

プチポワンと通常のゴブラン織と比較したとき、大きく異なる点はステッチの細かさです。

 

最も目の荒い布でも1cm角に50ステッチ以上が刺しこまれていて、最も細かく価値の高いプチポワンになると1cm角の300目以上のものも。ステッチが細かければ細かいほど仕上がりが緻密で美しさも際立ちます。

 

プチポワンは親子代々100年もの使用に耐えると言われていますが、それはこの厚みを持たせた丈夫な刺繍手法によるところが大きいと言えます。加えて、美しさの要である色彩は約500色に及ぶ刺繍糸から成り、下絵に定められた色糸を指示する記号マークに従いひと針ひと針模様を刺して作られています。

 

マリア・テレジアの娘であるマリー・アントワネットも、プチポワンをこよなく愛した一人です。彼女はベルサイユ宮殿やトリアノン王宮の調度品やドレスのアクセントに、プチポワンを多用していました。

 

いかがでしたでしょうか。同じ商品を眺めても、少し知識があるだけで見え方が違ってきますよね。

 

ベルリネッタ軽井沢では、絨毯やタペストリー、家具、雑貨、ファッションアイテムに至るまで、ゴブラン織の商品を種類豊富に取り揃えています。中には先述したコレクター垂涎の「プチポワン」も含まれています。

 

来春のオープンにはさらにラインナップが増える予定ですので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。

 

 

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