こんばんは。軽井沢のアンティークショップ、ベルリネッタ軽井沢です。
当店でのお買い物をより一層楽しんでいただければと、当ブログではアンティークの豆知識をご紹介しています。
前回はテーブルコーディネート&テーブルセッティングやアンティークガラスついて、その歴史と様式について詳しく記事にしました。
今回は、陶磁器とともにテーブルセッティングに欠かせない「アンティークシルバーウェア」を紐解いていきます。
I-当店でも人気の、アンティークシルバーウェア
シルバーウェア、銀器(金属器)は、別名ホローウェアとも呼ばれます。
銀器が一般的に広まったのは17世紀ごろ、イギリスが始まりと言われています。
小さいものはS・P(ソルト&ペッパー)、バター入れ、からし入れ、クリーマー&シュガーなど。大きめのものになるとティーポット、コーヒーポット、フルーツコンポート、ワインクーラー、トレイ、アフタヌーンティーのシルバーサービスなど。
アンティークならではの細かな装飾やフォルムでありながら現代のテーブルにもさりげなくフィットするので、当店でも人気の高いシリーズです。
銀器は昔からおもてなしの席で重宝されており、テーブル映えするアイテムが多いのも特徴。スタイリストの方などに、撮影小物としてご購入いただくことも多いです。
I-シルバーウェアといえば「イギリス」
先述したように、シルバーウェアの発祥の地・イギリスは「銀の国」と呼ばれるほど銀器と密接です。
イギリスで開催されているテニスの大会「ウィンブルドン」で、優勝者に贈られる盾も実は銀器。イギリスは階級制度が今も残る国ですが、銀器は高価なものとして貴族階級で代々受け継がれ、おかげでアンティークの銀器が数多く残っています。
ちなみに、銀器に限らず、カトラリーの中で最も早く食卓で使われたのは「ナイフ」です。カトラリーという呼び名も元々は刃物(cutlery)が由来で、食べ物をカットするもの、という意味で名付けられたと言われています。
なお、カトラリーは「フラットウェアー」とも称され、ナイフ・フォーク・スプーンなど平らに置ける物は、実はその他の銀器と区別されています。
ナイフは食事に使うほか、護身用の武器でもあったので、古くは必ず個人で持ち歩いていたそう。
テーブルウェアとして広く一般的に使われるようになったのは、鋳造成型が発達し量産が可能となった14世紀のこと。ルイ14世時代には先のとがったナイフが使用禁止となり、刃先が現在のように丸くなりました。
ナイフに次いでカトラリーに加わったフォークは、中東で使われていた二本刃のフォークがまずイタリアに伝わり、1533年にフィレンツェからメディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスが仏王アンリ二世に嫁いだ際、フランスに持ち込まれたそうです。
19世紀に起こった産業革命で大量生産されるようになり、刃の数も二本から三本、さらに使いやすい四本に変化して一般に広く普及しました。
銀器の中で最も新しいのはスプーンで、古くは貝殻にハンドルをつけたものや木製のものが多く使われていたそうです。
I-アンティークシルバーウェアのデザイン
アンティークシルバーのカトラリーは、柄の部分が特徴的な様式になっているデザインが多くあります。
シンプルな唐草のバロック型、バイオリンの形をしたもの、小さな玉を渕にあしらったビーズ型、シンプルなコンツール型、貝殻文様をポイントにあしらったコキーユ型、面が左右で折れているようなクイーンアン型、左右非対称文様のロココ型、優雅な流れのアールヌーボー型、角張ったアールデコ型等.......実に様々なデザインがあります。
文様は土地の特徴や年代を色濃く反映させますので、レストランで食事をする際はカトラリーの裏の刻印で材質を確認したり、プレートとカトラリーの合わせ方を研究してみるのも面白いですね。
I-シルバーウェアの素材
続いて、シルバーウェアの素材を詳しく見ていきましょう。
シルバーはプラチナに比べて安価ですが、ゴールドやプラチナに引けを取らない美しさ・上品さがあります。
■洋白銀器
一般に銀器と呼ぶ際は、洋白銀器を指します。洋白は銅、ニッケル、亜鉛の合金のこと。純銀コートが施されていて、純銀食器に近い使用感と光沢があります。
純銀コートにも2種類あって、白銀メッキ(洋銀・ニッケルシルバー・ジャーマンシルバーとも呼ばれます)あるいはステンレス銀メッキの場合がありますが、白銀メッキを施した食器にはEPNS(Electric Plated Nickel Silver)の刻印が裏に表示されています。
※裏の刻印を見ないと洋白銀メッキとステンレス銀メッキの区別は難しいです。ホテル等で使われているのはほとんどステンレス銀メッキのタイプです。
■純銀(スターリングシルバー)
シルバーアクセサリーなどに用いれる、いわゆるシルバー925がスターリングシルバーにあたります。
銀は柔らかく単一素材ではカトラリーとしての用途に耐えられないため、何%かの銅を加えて強度を出します。
一般的に純度75%が純銀と呼べる最低基準になっています。
ちなみにイギリスのスターリングシルバーは92.5%に設定されています。
スターリングシルバーは、銀色の深みと美しい光沢があって、金、プラチナなどと共に貴金属の中に入ります。
純銀食器を購入する際の注意点は、責任所在が明示されているかどうか。代表的な保証制度としてはイギリスのホールマークがあります。
■ステンレス
ステンレス・スティールは、鉄をベースに、クローム単体あるいはクロームとニッケル等を添加した合金鋼です。
品質により13クローム、18-8ステンレスに別れ、耐蝕性、耐久性の強さに違いがあります。
先述にてご紹介した純銀や洋白銀器に比べ、値段も安価で耐久性や手入れのしやすさから、日常使いのシルバーウェアとして人気があります。
シルバーウェアは、見た目の美しさもさることながら、抗菌作用が高く、きちんとお手入れすることで長く愛用できる良さがあります。
素材や装飾、製造地など注意深く観察しながらお気に入りを見つけていただけたら、より一層興味が湧くのではないでしょうか。
ベルリネッタでも多くのアンティークシルバーウェア、シルバーカトラリーのお取り扱いがございますので、ぜひ店頭でチェックしてみてくださいね。
・記事監修
元(株)ノリタケカンパニーリミテド デザイナー
一部参考 TALK食空間コーディネーターテキスト2級
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