オールドノリタケの砂漠風景絵

軽井沢・塩沢のアンティークショップ ベルリネッタでも人気のオールドノリタケ

 

1904年の設立から日本を代表する食器ブランド「ノリタケ」の食器製品世界中で高い評価を得ています。

 

「オールドノリタケ」の学問的な定義はなされていませんが、1800年代の終わりから第二次世界大戦前後まで、ノリタケの前進である森村組と日本陶器で作られた花瓶や置物などの装飾品と食器などの総称です。

 

 アンティークの世界では「オールドノリタケ」と呼ばれて親しまれています。

 

オールドノリタケといえば、先日ご紹介した手描きの美しい薔薇の金点盛り薔薇カップ&ソーサ―のようなデザインや金装飾をふんだんに使ったデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

 

 

 

今日は同じく金装飾が美しいオールドノリタケを代表する「コバルト金盛り砂漠風景絵シリーズ」をご紹介します。

 

 

通称「マンオンキャメル」とも呼ばれる、エジプトの砂漠を背景にラクダに乗った人を描いた風景絵シリーズです。

 

深い紺青色が美しいコバルトの上に金盛りと金彩が施され、砂漠のサンドカラーとの美しいコントラストが目を惹きます。

 

 

ソーサ―とカップの縁回りの美しいコバルトブルーをご覧ください。

 

コバルトとは瑠璃色ともいわれるコバルト質の顔料を陶器全体につけ焼成することで釉薬自体に絵付け絵具が溶け込み、深みのある瑠璃色に発色します。

 

1700年代にフランス、パリ東端にうまれた王立の「王立セーブル製陶所」で陶器の顔料として初めて開発され、「国王の青」と呼ばれるほど有名な釉薬です。

 

禁色と呼ばれ、他では使えなかった高貴な色としても知られています。

 

今も国立セーブル製陶所として2世紀半の歴史を誇るセーブル窯を代表するセーブルブルーとも呼ばれたコバルト色は優雅で洗練された色として人気です。

 

 

こちらの製品がつくられる少し前、ノリタケの前進となる森村組は当時ニューヨークに図案部を置いていました。

 

日本からニューヨークに派遣した有名絵師や画家に現地の文化に触れさせながら、アメリカ人の好みに沿うデザイン制作をさせたそうです。

 

そのデザインが掲載されているのが「デザイン画帖」です。

デザイン画帖は当時、顧客からの注文を取るために使われ、パンフレットの役割もありました。

 

 

そうして描かれた図案は日本に送られて、日本の職人によって制作された後、アメリカに輸出されました。

 

 

 

この画帖は名古屋のノリタケミュージアムやノリタケ本社などにも展示されていますが、図案自体がまるで写真のように繊細に描かれています。

 

以前ノリタケの社員の方からこちらの画帖はデザイン指示書の役割を果たしていたとお聞きました。

 

ノリタケは近年もアメリカやヨーロッパに日本人デザイナーを派遣したり、社員の方への美術教育などが充実していると聞きます。当時からの文化が現在でも受け継がれているのかもしれませんね。

 

こちらの「砂漠風景絵」はノリタケのデザイン画帖(1924-1926年)に掲載されています

 

19世紀後半にアフリカを植民地とした強国がエジプトの遺跡発掘をしたことが背景となり、海外へ商品を納品していたノリタケではエジプトの風景を取り入れたとされています。

 

そしてオールドノリタケの特徴でもある「金盛り」「金点盛り」といった技法がコバルトの上に施され、金の量感を感じるデザインは当時の輸出国であったアメリカの繁栄もうかがえるデザインです。

 

オールドノリタケ砂漠風景絵アラブマウントオンキャメル

 

カップとソーサ―の両方に施されたコバルト上金彩と絵付けによって、デミタスカップには見えないボリューム感を感じていただけるかと思います。

 

先日ご紹介したノリタケの薔薇同様、図案によって当時の時代背景が見てとれるのもアンティークの面白さです。

 

当時の時代背景を感じながら美しいアンティークを店頭で是非お楽しみください。

 

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