■営業時間
朝食 7:00-10:00(L.O 9:30)/ ランチ 10:00-14:00(L.O 13:30 ) / カフェ 10:00-14:00(14:30クローズ)
■定休日:水曜日
朝7時からご利用いただけるモーニングは、信州産の新鮮野菜たっぷりのサラダ&きのこのポタージュスープが好評。ランチの一番人気メニューはスモーク明太子のパスタです^^軽井沢にお越しの際はぜひお立ち寄りください。
アンティークショップも、まもなく4月21日(木)のオープンに向けて着々と準備を進めています。
あともう少しだけお待ちくださいね!
当ブログでは、皆さまにアンティークのお買い物をさらに楽しんでいただくため【アンティーク入門】と題した豆知識を発信しています。
前回の記事「英国アンティーク家具の愉しみ方①」では、マナーハウス(中世のイギリスの荘園領主の邸宅をのこと)の室内装飾とともに長い歴史の中で発展してきた英国アンティーク家具の、主に"オークの時代”について詳しく見ていきました。
続く今回は、17世紀半ば、チャールズ2世の元で花開いた“ウォルナットの時代”を紐解いていきます。
英国アンティーク家具の歴史②
I-17世紀半ば〜 ウォルナット時代の到来
16世紀〜17世紀を通して、イタリア・フランス・スペインなどにおいては加工の利便性や優れた装飾性に長けているウォルナット材がすでに多く用いられていました。
英国においては17世紀半ば、王政復古によりチャールズ2世が即位したあと、新しい様式の意匠を伴う形でウォルナットの時代が始まることになります。
1659年にクロムウェル護国卿が亡くなると英国を覆っていた清貧・簡素を良しとする気風は薄れました。社交や芸術を愛し博識かつ好奇心旺盛な国王・チャールズ2世は「陽気な王様」というあだ名で親しまれ、家具史上においても大きな発展をもたらしました。
新たに登場したのは『ツイスト』と『カーブ』の意匠模様です。
刈り取った大麦などを捻り束ねたような意匠=バーレイ・ツイスト、綾がけに捻った意匠=ダブル・ツイスト、透かし彫りの技術やウォルナットを表板とした化粧張り(異なる木材を小幅に切断し、交互に合わせる)の技法も生まれます。
椅子も、より強固に・より軽く・より華やかに進化していきます。
椅子の強度を増すため、ストレッチャー部分のデザインに従前のH形に加えてX型が加わりました。またキャサリン王妃への敬意を表しデザインされたというCスクロール(C字の渦型)の発展型・ブラガンザの装飾が施されたり、前面下部にダッチ・ボウ(オランダ様式の弓型装飾)が取り付けられているのが特徴的です。
これはチャールズ2世がオランダ亡命していたことが影響していると言われており、国王は亡命先で学んだファッションやマナーを率先して家具装飾にも取り入れたようです。
椅子のほか、テーブルの脚にも華やかな装飾が施されるようになります。
カップの形状を逆さに用いた意匠=ターン・インバーテッドカップ、上下2箇所に渦巻を施した意匠=ダブル・スクロール、螺旋状の細工=ツイスト・ターン、またウォルナットの質感を生かしたウォルナット・スクロール(プラガンザ・トゥを手直しして投影した意匠)、カーブ・スクロール(渦形をデフォルメした意匠)、リヴァース・スクロール(渦巻を脚の中心で逆方向に配した意匠)も登場しました。
I-大量生産と多様化〜籐張り、漆塗り、布張り家具等
1666年。ロンドン大火が起きたことで、家具の需要が増大します。それにより家具の大量生産とともに意匠も多様化していきました。
東インド会社から東洋の籐が到来し籐張りの椅子が作られるようになったり、また同じく東洋から「中国趣味」の流行とともに漆塗りのデザイン家具が輸入されると、高価なウォルナットを使わずとも美しい塗り仕上げが可能に。ウォルナットよりも安価で柔らかく加工性の高い松などの木材が使われるようにもなりました。
華美に流れていた装飾とは一転、カントリー・ファニチュアーの流れで、素朴なピルグリム・スラット(小割り板を横に並べただけの素朴な意匠)がデザインされた椅子も、この時代に多く生産されています。
とはいえ一方では、ウォルナットを用いた高級家具もバリエーションを広げていきます。
スペイン・南フランスから輸入される明るい茶色系統のウォルナットのほか、木目が細かく濃い色合いのブラック・ウォルナット(イギリス・ウォルナット)、黒海地域から輸入されるサーカシア・ウォルナットなどが高級家具に使用されました。
ガラス扉のついたキャビネットが生まれたのもこの時代です。高価な品物を内部に納めて眺めるカップボードなどが、より精度の高い高級家具として製作されるようになり、キャビネットメーカー(専門職人)も登場しました。
セッティ(2人以上が座る、背もたれと肘掛けのある椅子)やデイベッド(寝台兼用のソファ )が流行したり、カードテーブルやティーテーブルなど小型で繊細な造りの家具、あるいはゲートレッグ・テーブル(円形や卵形に広がる垂れ板つきのテーブル)のような仕掛け家具の需要も生まれています。
また忘れてはならないのが、ガラスの存在です。
ガラスも、この時代に産業として基盤を築き家具製作に寄与しています。輸入に頼っていたガラスが比較的容易に手に入るようになったおかげで、家具の部材として多数供給されていきます。気圧計、クロック家具などに用いられたほか、鏡つきの家具も製作されるようになりました。
I-17世紀後半〜より繊細な意匠へ...カブリオレ・レッグ(猫脚)の登場
家具の意匠は、より繊細さとバリエーションを求められるようになっていきます。テーブル一つをとっても、ティー・テーブル、サイド・テーブル、ドレッシング・テーブルなど細かく分類されています。
貴族階級の貴重品であった家具需要が中流階層にも広まり、さらには一般民衆の家庭にも家具が置かれるようになったことで、様々な形式・用途に応じた家具が必要となったためです。また、家具細工の高度化とともに部材同士の精密な接合や合わせの正確さが必須となり、金属ネジの使用が始まったのもこの頃です。
紅茶を輸送するキャディ(保存箱)やチェストには、高級品にふさわしい装飾が施されました。レザーをかぶせたり、金銀の装飾金具が用いられたり、もう少し後にはラッカー塗装されたものも現れます。
キャビネットやカップビードは、脚だけでなくトップにも華やかな装飾が施されるようになりました。アンブロークン・ペディメント(三角形で、頂点に割れのない意匠)、ブロークン・ペディメント(三角形の頂点を意図的に壊した意匠)、ボールドフーディット・ペディメント(連ねたドーム型の装飾を施した意匠)など実に多彩なデザインが見られます。
そしてやはり特筆すべきは、カブリオレ・レッグ(猫脚)の登場でしょう。
曲線の脚はオランダから輸入された意匠で、その先端はボール&クロー・フット(権力の象徴としての玉を釣り爪で掴んだようなデザイン)、バッド・フット(平らな円盤形の脚下受け)、フーフ・フッド(蹄形)などにまとめられています。カブリオレ・レッグはその優美なデザインもさることながら、ストレッチを使わなくても十分な強度を保てる実用性の高い意匠でもありました。
王侯貴族が愛用していた寝台も、より精巧なモールディングやオーナメントで飾られるようになります。寝台の周囲にかける遮蔽の布地にはダマスク織の絹織物やビロード地に金銀糸で刺繍を施したもの、刺繍をともなったタペストリーなど華やかで凝った織物が人気となりました。
新たな家具も次々に生まれています。
タンスの上に別のタンスを載せたような縦長の家具=トール・ボーイは、キャビネット類の人気家具となります。上下、二段の切り返しがデザインされ、トップはこれまでのようにペディメント装飾は用いず、フラットなモールディングとなっているのがデザインの特徴。脚はカブリオレ・レッグにボール&クローやバン・フットが定番でした。キャビネット底部・中央フロント面はシェル形などのオーナメント等で飾られています。
もう一つ、人気を博した家具はウィング・チェア(グランド・ファーザー・チェア)です。布張りの椅子で、肘掛けのそでが高い背もたれに連なった安楽椅子です。布地にステッチや刺繍を施し、華やかなデザインになっています。
このあと、18世紀になると、英国家具の絶頂期ともいうべきマホガニーの時代に映るのですが......そちらはまた次の記事で深ぼっていきたいと思います。
▷過去記事はこちら
【アンティーク入門Vol.3】違いがわかる!ヨーロッパ名窯の歴史と特徴
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【アンティーク入門Vol.5】お皿が丸い理由は?陶器のできるまで
【アンティーク入門Vol.6】陶器絵付けの秘密:転写紙の作り方、手描きの良さ
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【アンティーク入門Vol.12】アンティークフランス家具の歴史①
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