【アンティーク入門Vol.19】上質なペルシャ絨毯の選び方

軽井沢のアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。

 

※お知らせ

当店は2022年11月29日(火)の営業をもって冬季休業に入らせていただきました。

来春の営業開始は4月14日(金)を予定しております。

 

当ブログは冬季休業中も月1〜2回のペースで更新し、アンティークの豆知識を綴って参りますので、ぜひお時間のある時にチェックしていただけたら嬉しいです。

 

さて、今回のブログは......【アンティーク入門Vol.19】ペルシャ絨毯の歴史と魅力について、です。

 

当店でも実は1枚100万円を超える高価なものから比較的手に取りやすい価格のものまで、目利きのオーナーがセレクトしたペルシャ絨毯をご用意しています。

 

好みや用途に合わせて直感で選ぶのも素敵ですが、その歴史と魅力を知れば、より一層お買い物を楽しんでいただけると思います。

ペルシャ絨毯とは

ペルシャ絨毯とは、正確には「イラン国内で製作された手織絨毯」のことを言います。

 

したがって、トルコやコーカサス、アフガンなどイラン以外の国で製作された絨毯は、手織であってもデザインが似ていてもペルシャ絨毯とは呼べません。またイランで製作されたものであっても、正式にペルシャ絨毯と呼べるのは手織のものだけ。“機械織のペルシャ絨毯”は本来は存在しないので注意が必要です。もちろん模倣品であったとしても実用品としての価値はあるのですが、購入する際は知識として知っておきたいところです。

 

正確な起源は特定されていませんが、3,000年以上の歴史を持つ「最古の絨毯」として知られるペルシャ絨毯。イランでは国を挙げての一大産業で、国内全土にわたって生産されています。

 

高級ペルシャ絨毯の五大産地

ペルシャ絨毯はイラン全土で製作されており、ローカルな産地のものも多いですが、中でも必ず名前のあがる名産地があります。

 

■エスファン(イスファン)

中部高原地帯にある都市。紡糸技術・色彩・デザインのすべてにおいて優れており、上質なペルシャ絨毯の産地として知られています。エスファン産のペルシャ絨毯はウールを基本とし、縦糸にシルクを使っているのが特徴の一つ。

 

■ナイン

エスファンの北東部郊外にある都市。本格的に生産が開始されたのは1920年代で、ペルシャ絨毯の中では歴史の浅い産地。ナイン産のペルシャ絨毯はベージュ・クリーム・濃紺などの色彩を基調としているものが多い。

 

■タブリーズ

ビザンティン様式で建築された「青のモスク」があるイラン北西部にある都市。日本でも認知度の高い名産地です。タブリーズ産のペルシャ絨毯は伝統的な色彩を守りつつ、バラエティに富んだデザインと緻密に織られた技術力の高さが特徴。

 

■クム(コム)

クム(コム)は、日本で最も知名度が高いペルシャ絨毯の産地です。伝統的なデザインだけにとどまらず、海外市場やトレンドを抑えたデザインが特徴。クム産のペルシャ絨毯はシルク製のものが多く、近年は【クム・シルク】と呼ばれるオールシルクの絨毯の産地として名を馳せています。

 

■カーシャン

カーシャン(カシャーン、カシャン)は、中北部の乾燥地帯にある伝統工芸の町。長い歴史を持ち伝統的なデザインを守っているのが特徴です。カーシャン産のペルシャ絨毯は、メダリオンやアラベスク模様といった定番デザインが多く、赤やベージュ色彩の絨毯が多い。

 

【ペルシャ絨毯の伝統的なデザイン】

アラベスク模様・イスリム模様・糸杉模様・隠し絵模様

 

 

ペルシャ絨毯の選び方

高級品として知られるペルシャ絨毯ですが、その人気ゆえに産地偽装品等が出回っていることも事実......。品質を見極めるには知識と目利きが必要になりますが、初心者にもわかりやすい判断基準は【ノット数】です。

 

ノットとは繊維の密度を表す単位。ノット数が大きければ大きいほど製作に膨大な時間と技術が必要となるため必然的に高価な絨毯となります。五大産地だからとか、金額が高いから=高級品、などと判断しないように気をつけてください。先述のように産地偽装されている可能性もあります。

 

ではどの程度のノット数が最高ランクであるかというと......一般に1センチ平方メートルの中に110万個以上のノット数があれば最高級のペルシャ絨毯に該当すると言われます。また、絵柄のラインが正確に出ているか、素材や染料の質、仕上がりの美しさも重要なポイントです。

 

また、使用するシチュエーションに適した素材の絨毯を選ぶことも大切です。

 

最もニーズが高いのは、おそらくリビングでしょうか。ペルシャ絨毯を敷くことで部屋の印象がパッと明るく華やかになります。

 

日本ではシルク素材の人気が高いのですが、家具の下敷きになったり人が乗る機会が多い場所で使用するには、摩擦に強く耐久性の高いウール素材のものがお勧めです。山岳地方の厳しい環境で育つ羊の毛はとても強く、耐久性に優れ色持ちも良い上質なウールです。

 

一方、上写真のようにタペストリーとして壁掛けするような場合には、高級感のあるシルク素材の絨毯を飾るのが素敵です。シルクの光沢により光の加減で色味が変わって見えたり、芸術品としても楽しむことができます。

 

このようにペルシャ絨毯は、美しさや芸術性とともに実用性も兼ね備えているところが最大の魅力です。

 

年月を重ね、多く踏まれ使い込むほど糸が固くしまり、色合いに深みや美しさを増していく......まさに魔法の絨毯ですよね。定期的にクリーニングし、修繕を重ねながら末永く付き合っていく、まさに一生ものです。

 

ペルシャ絨毯をお買い求めの際は、当ブログで得た知識をぜひ生かしていただけたらと思います。

 

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